2008年11月29日土曜日

八戸信金事件貸金四億四千万時効?1



200年8月号から
 世の中に金融機関は多けれど、八戸最大の金融機関八戸信用金庫はどうもまともじゃない。これが正しいなら八戸は間違いだらけ。
 金貸しが土地を担保にとってバブルで弾け、困った挙げ句に国に泣きついて、庶民の金利が限りなくゼロに近づいたのは周知の事実。
それに便乗し、健全経営の中小零細金融機関も追随。しかし、驚嘆するのは銀行員の給料の高さ、昨年の長者番付が発表されたが、国に泣きついた悪徳銀行の頭取等の報酬の高さには唖然。信じられる? 自分たちがしでかした事を棚に上げて、給料ばかりを貪るのは許せるのか。明治時代のように、庶民に気骨があった頃なら暴動がおきて当たり前。
 我々が歴史で学ぶ帝国憲法の草案者、わが国初代総理大臣、伊藤博文は立派な人だとの印象があるが、当時の人々にはそうは写らない。あんな助平の爺の銅像を建て
るなと、その銅像にフンドシを巻き付けて市内を引回して川原に捨てたそうだ。根性があるゾ。
 八戸信金の理事長が幾ら給料を貰っているかは知らぬが、安い額じゃない筈。その給料は何処から出る? それは我々庶民の金を借りたい人に貸付、その利ざやで運営しているのだ。つまり、我々庶民の金が適法に運用されるが大前提。しかしながら、本当にそうなのだろうか。筆者のもとに平成十年十月二十日に相談が持ち込まれた。それは八戸信金から担保に人れた土地・家屋が競売されて困ったとの厄介なもの。困った人、弱い人を見ると助けたくなるのが筆者の根性。俄然張り切る。今までもお婆さんからビルが建ってテレビが見えなくなったが、NHKに言っても何もしてくれないので何とかして欲しいという気の毒な話も、そのビルの屋上に共同アンテナを建ててもらい解決、東北電力が焼け出されたお婆さんから、家もないのに毎月定額の電気料を取られていたのを返却させるなど、弱者救済を趣味にしている。今回の事件は不思議な点が多く、商売が左前になりつつある人には、どのような手順で金融機関が貸金の取立をしてくるかを勉強してみる。
先ず、四億四千万円が時効にかかったという点から見てみよう。
借りた金が時効になれば当然支払い義務はない、そんな愉快な話があるのだろうか。ある!
 金融機関の借金払わないで済む魔法の法律時効とは
時効とは何か。人殺しをしても十五年逃げると時効になるのは読者諸兄も御存知の通り。
 最近テレビ・新聞を賑わした福田○子の事件を思い出していただきたい。人殺しをして逃げに逃げ回って、元の杵柄のホステスをやっていたが、テレビで時効を知った人がそう言えば似てると警察に通報し逮捕になったが、このまま逃げきれば、公訴に関する時効で堂々と人前に出れる。しかし、殺人の罪が無くなる訳ではないので、良心があれば煩悶はするだろうが、強かな奴じゃどうにもならない。殺人罪の判決を受け脱走して逃げ回る時は三十年の歳月が必要になるが、それでも時効は成立する。かくほど左様に時効というものは恐ろしい力を持っている。
時効の概略を記す。
時効・一般取引についての時効で原則十年。
短期消滅は三年、二年、一年。
商事時効・商取引に関する時効で原則五年。
刑事時効・刑罰に関するもの一年から三十年。
公訴に関するもの一年から十五年。
その他の時効・税金などは五年。
 今回の貸金は八戸信用金庫のなした業務であるから商事時効に属する。商法の五二二条には〔債権の消滅時効〕として商行為に因りて生じたる債権は本法に別段の定めある場合を除く外五年間之を行わざるときは時効に因りて消滅す、と定めている。つまり、五年間利息も元金も払わないときは貸手はその貸金を失うことになる。
 相手は天下の八戸信用金庫、人さまの金を預かり、それを運用し利潤を上げるのが仕事、そんなズサンなことがある訳はない! そう筆者も思っていたが、これを発見したのは弁護士だった。
 天下の八戸信用金庫にも大きなミスがあった。意外と日常業務を行う側にミスが多いのは鉄道、飛行機、交通事故など。毎日繰り返している業務の中でポカをやらかすことがあるが、これもそれと同様なミスだ。
 借金の合計は六億七千万円になっている。しかし、貸手の八戸信用金庫の金を貸す手段方法に間違いがあった。
金融機関から金を借り入れるには二つの方法がある
一つは設備資金などの長期の借入。もう一つは運転資金などの短期のもの。
●長期の場合には金銭消費貸借と称して借入元金に貸出利息を上乗せし、それを六十回とか百回に分割返済していくもの。これを証書貸付と呼ぶ。
●短期の場合には借入額面から金利を先に引かれて、期日が到来した時に一括弁済するもの。金融機関は顧客(借り人)に金を貸付け、顧客は借用証書代わりに手形を金融機関に交付するもの。この場合の手形は顧客の振り出した約束手形または自己引受為替手形で、銀行が受取人であり、裏書きのない(単名手形)ものであり、金融機関は原因債権(貸金債権)と、手形債権の二つを持っている。
 手形の場合は商事行為の中でも時効の期間は短い。三年で時効になる。(手形法七十条一項、七七条一項八号)。つまり銀行に渡した手形が落とせずに、何のかんのと言い訳をしながら延滞利息も入れずに頑張れれば、三年で時効になる。これには一寸した根性と度胸がいるゾ。銀行員も一皮むけばインテリヤクザで、手形が廻ってきて預金不足。三時になれば、各支店は手形を持って本店に集合する。その際、引き落とせるだけの金額がないと不渡りになる。自分の支店から不渡りは出したくないので、手形振出人に矢の催促が来る。これは受けた者じゃないと判らぬが、ソリャ厳しいことを言う。
何とか金をかき集めて持って行くと、『今回は待ってやったが、次回はまたないぞ社長、いいか』などの発言は平気のへいざだ。
これは商業手形の場合で、自振の金融機関へ出した単名の場合は大体金利を入れて書換えてくれる。これは何度でも応じてくれるが、次第に険悪な表情になり、馬鹿野郎程度の発言は往々にしてある。何故筆者がそんなことを知っているか? 散々言われた口なので知悉。普通、証書貸付にせよ単名にせよ、三年も五年も放置するということは先ずあり得ない。それは金融機関も敵はさるもの、引っ掻くもので、なかなか逃げきれない。また監督官庁があり、ズサンな経営を監視している。