捜査本部のこれまでの調べによると、若花菜さんは自宅寝室で両手を後ろで縛られたうえ、口に粘着テープを張られて刺殺されていた。若花菜さんは当日、午後六時ごろには帰宅しており、母親に発見された同二十五分ごろまでの間に殺害されたと推定される。
若花菜さんはモダンバレーを習っており、毎週水曜日がけいこ日で、事件があった二十七日も母親と行く約束をしていた。けいこは午後七時からで、いつもは六時五十分ごろ家を出ていたという。家政婦の母親は、ふだん午後七時半ごろに帰宅するが、水曜日だけは一緒にけいこに行くため午後六時半前後だった。
このため若花菜さんは午後六時半までに帰宅すればいいことになる。ところが、「きょうは六時までに帰宅し、二十分ごろまでは家に居なければならない」と友人に話していたことが、関係者の証言で分かった。
友人が「どうして」と聞いても、けいこのことも言わず理由を濁していたという。
この時間帯は母親がまだ帰宅しておらず、若花菜さんが一人だけになる数十分間に、だれかと会う約束をしていた可能性が出ている。その人物は誰なのか。家族と会う確率も高く、居合わせても疑われない人物とも考えられる。
一方、居間のこたつの上にたばこの吸いがら二本と口の開いた缶コーヒーがあった。父親は出稼ぎ中で、自宅には灰皿がなく家族はたばこを吸わないようだ。けいこ日だったことに加え、夕食時でいつ家族が帰宅しても不思議ではない状況で、たばこを二本も吸う余裕があった人物が犯行時間帯にいた可能性も考えられる。
室内は物色された形跡がなく、物取りの線は薄い。遺留品は犯人のものとみられ、捜査本部は顔見知りによる計画的な犯行との見方を含め、若花菜さんの交遊関係を中心に捜査を進めている。
十一月一日月曜日
粘着テープは近くのスーパーの希少品
買った中年男目撃
捜査本部は三十一日までに、若花菜さんの口に張られていた粘着テープを販売する店は限定されており、現場付近ではJR本八戸駅前のスーパーだけ。事件当日、その粘着テープを買い求めた中年男性が目撃されており、捜査本部も事件解明の有力な手掛かりとみて、人物の特定を急いでいる。
捜査本部のこれまでの調べによると、犯行現場に残された遺留品は、若花菜さんの口に張られた粘着テープのほか、こたつの上に置いてあった使い残しの粘着テープと茶色の缶コーヒーの空き缶、マイルドセブンライトとみられるたばこの吸いがら二本と少ない。凶器は依然として発見されていない。捜査本部はこれら数少ない遺留品の指紋の検出、商号などの鑑識活動、入手経路などの捜査に全力を挙げ、これまでに粘着テープのメーカーを特定したもようだ。
同テープは、日東電工社製の布製の粘着テープとみられている。750ナンバーの段ボール色でサイズは幅五㎝。同社製の粘着テープを扱う卸業者によると、主な取引先は本八戸駅前のスーパー系列という。文具店などは同社製以外のメーカー商品を扱っており、現場周辺では同スーパーだけ。
事件当日の二十七日、同スーパーで中年男性がこの粘着テープを購入したのが確認されている。レジのレシートなどから購入時間は午前十時五十分ごろ。中年男性のレジを担当した店員によると、年齢は四十歳前後で中肉中背、地味な色の服を着ていた。粘着テープは一日に一本出るか出ないかの商品で、紙製より値段の高い布製を買う人は少ないという。この中年男性は粘着テープと干しガレイの二品を購入。レジでは顔を向けずそわそわしていたような感じがした、とも証言する。
犯行時間ごろ現場付近を走り去った不審な人物として、似顔絵を作成した男と年代が近いことから、捜査本部は事件に関与した可能性もあるとみて、人物の特定を急いでいる。
一方この日、若花菜さんの火葬が親類や同級生ら約百人が参列して営まれた。火葬一時間前の午前一時の出棺には、二中生ら五十人が駆けつけ、若花菜さんを見送った。
十一月二日火曜日
不審者の特定急ぐ
若花菜さん刺殺事件
凶器は依然未発見
捜査本部は一日も、犯行時刻ごろ現場付近で目撃された中年男性の割り出しに全力を挙げる一方、市民情報による不審者や前歴者など数十人をリストアップし、事件との関連を調べている。
捜査本部のこれまでの調べで、犯行時刻ごろに現場付近で目撃された不審者、不審車両をはじめ、事件後に首や手、顔などに引っ掻き傷がある複数の人物が目撃されている。同本部ではそれら不審者の特定を急ぐ一方、特定された人物数人から事情を聴き事件との関連を調べているが、今のところ直接事件に結びつく有力な手掛かりは得られておらず、凶器も依然発見されていない。 また、犯行に使われた布製粘着テープはJR本八戸駅前のスーパーで購入されたとの見方を強め、犯行当日購入した中年男性の特定を急いでいる。
十一月三日水曜日
八戸の女子中生刺殺事件から一週間
依然有力な手掛かりなし
捜査員百六十人に増員
捜査本部はこれまでに延べ九百六十四人の捜査員を投入したが、「直接事件に結びつく有力な手掛かりは得られておらず苦しい捜査」(山田寿夫刑事部長)を強いられている。
二日からは捜査員三十一人を増員、百六十人態勢で望み、これまでに犯行時刻ごろ若花菜さん宅に男性の訪問者があったことが分かった。捜査本部では、この男性から当時の状況などについて事情を聴いた。この男性は「集金で立ち寄り、若花菜さんと玄関先で一、二分立ち話をし、『母親が早くとも午後六時半でないと帰らない』というので帰った。特別変わった様子はなかった」と話している。
捜査本部のこれまでの調べで、若花菜さんの帰宅時間は午後六時ごろと推定されている。
しかし、この男性は「訪れたのは午後五時半から五時五十分ごろ」と話しているため、捜査本部では時間帯の特定などについて確認を急いでいる。
粘着テープ購入の男性は無関係
JR本八戸駅前のスーパーで事件当日の午前中、犯行に使われた物と同型の粘着テープを購入した男性が目撃されていたが、捜査本部によるとこの男性は市内の会社員(49)で、二日までに名乗り出て事件とは無関係であることが分かった。
若花菜さんはモダンバレーを習っており、毎週水曜日がけいこ日で、事件があった二十七日も母親と行く約束をしていた。けいこは午後七時からで、いつもは六時五十分ごろ家を出ていたという。家政婦の母親は、ふだん午後七時半ごろに帰宅するが、水曜日だけは一緒にけいこに行くため午後六時半前後だった。
このため若花菜さんは午後六時半までに帰宅すればいいことになる。ところが、「きょうは六時までに帰宅し、二十分ごろまでは家に居なければならない」と友人に話していたことが、関係者の証言で分かった。
友人が「どうして」と聞いても、けいこのことも言わず理由を濁していたという。
この時間帯は母親がまだ帰宅しておらず、若花菜さんが一人だけになる数十分間に、だれかと会う約束をしていた可能性が出ている。その人物は誰なのか。家族と会う確率も高く、居合わせても疑われない人物とも考えられる。
一方、居間のこたつの上にたばこの吸いがら二本と口の開いた缶コーヒーがあった。父親は出稼ぎ中で、自宅には灰皿がなく家族はたばこを吸わないようだ。けいこ日だったことに加え、夕食時でいつ家族が帰宅しても不思議ではない状況で、たばこを二本も吸う余裕があった人物が犯行時間帯にいた可能性も考えられる。
室内は物色された形跡がなく、物取りの線は薄い。遺留品は犯人のものとみられ、捜査本部は顔見知りによる計画的な犯行との見方を含め、若花菜さんの交遊関係を中心に捜査を進めている。
十一月一日月曜日
粘着テープは近くのスーパーの希少品
買った中年男目撃
捜査本部は三十一日までに、若花菜さんの口に張られていた粘着テープを販売する店は限定されており、現場付近ではJR本八戸駅前のスーパーだけ。事件当日、その粘着テープを買い求めた中年男性が目撃されており、捜査本部も事件解明の有力な手掛かりとみて、人物の特定を急いでいる。
捜査本部のこれまでの調べによると、犯行現場に残された遺留品は、若花菜さんの口に張られた粘着テープのほか、こたつの上に置いてあった使い残しの粘着テープと茶色の缶コーヒーの空き缶、マイルドセブンライトとみられるたばこの吸いがら二本と少ない。凶器は依然として発見されていない。捜査本部はこれら数少ない遺留品の指紋の検出、商号などの鑑識活動、入手経路などの捜査に全力を挙げ、これまでに粘着テープのメーカーを特定したもようだ。
同テープは、日東電工社製の布製の粘着テープとみられている。750ナンバーの段ボール色でサイズは幅五㎝。同社製の粘着テープを扱う卸業者によると、主な取引先は本八戸駅前のスーパー系列という。文具店などは同社製以外のメーカー商品を扱っており、現場周辺では同スーパーだけ。
事件当日の二十七日、同スーパーで中年男性がこの粘着テープを購入したのが確認されている。レジのレシートなどから購入時間は午前十時五十分ごろ。中年男性のレジを担当した店員によると、年齢は四十歳前後で中肉中背、地味な色の服を着ていた。粘着テープは一日に一本出るか出ないかの商品で、紙製より値段の高い布製を買う人は少ないという。この中年男性は粘着テープと干しガレイの二品を購入。レジでは顔を向けずそわそわしていたような感じがした、とも証言する。
犯行時間ごろ現場付近を走り去った不審な人物として、似顔絵を作成した男と年代が近いことから、捜査本部は事件に関与した可能性もあるとみて、人物の特定を急いでいる。
一方この日、若花菜さんの火葬が親類や同級生ら約百人が参列して営まれた。火葬一時間前の午前一時の出棺には、二中生ら五十人が駆けつけ、若花菜さんを見送った。
十一月二日火曜日
不審者の特定急ぐ
若花菜さん刺殺事件
凶器は依然未発見
捜査本部は一日も、犯行時刻ごろ現場付近で目撃された中年男性の割り出しに全力を挙げる一方、市民情報による不審者や前歴者など数十人をリストアップし、事件との関連を調べている。
捜査本部のこれまでの調べで、犯行時刻ごろに現場付近で目撃された不審者、不審車両をはじめ、事件後に首や手、顔などに引っ掻き傷がある複数の人物が目撃されている。同本部ではそれら不審者の特定を急ぐ一方、特定された人物数人から事情を聴き事件との関連を調べているが、今のところ直接事件に結びつく有力な手掛かりは得られておらず、凶器も依然発見されていない。 また、犯行に使われた布製粘着テープはJR本八戸駅前のスーパーで購入されたとの見方を強め、犯行当日購入した中年男性の特定を急いでいる。
十一月三日水曜日
八戸の女子中生刺殺事件から一週間
依然有力な手掛かりなし
捜査員百六十人に増員
捜査本部はこれまでに延べ九百六十四人の捜査員を投入したが、「直接事件に結びつく有力な手掛かりは得られておらず苦しい捜査」(山田寿夫刑事部長)を強いられている。
二日からは捜査員三十一人を増員、百六十人態勢で望み、これまでに犯行時刻ごろ若花菜さん宅に男性の訪問者があったことが分かった。捜査本部では、この男性から当時の状況などについて事情を聴いた。この男性は「集金で立ち寄り、若花菜さんと玄関先で一、二分立ち話をし、『母親が早くとも午後六時半でないと帰らない』というので帰った。特別変わった様子はなかった」と話している。
捜査本部のこれまでの調べで、若花菜さんの帰宅時間は午後六時ごろと推定されている。
しかし、この男性は「訪れたのは午後五時半から五時五十分ごろ」と話しているため、捜査本部では時間帯の特定などについて確認を急いでいる。
粘着テープ購入の男性は無関係
JR本八戸駅前のスーパーで事件当日の午前中、犯行に使われた物と同型の粘着テープを購入した男性が目撃されていたが、捜査本部によるとこの男性は市内の会社員(49)で、二日までに名乗り出て事件とは無関係であることが分かった。