2008年10月14日火曜日

時効せまる・若花菜さん殺し 5

犯行現場
 殺害場所の寝室以外で、血痕があったのは玄関付近の廊下一か 所だけ。玄関のガラスの割れる音は午後六時十二分から二十分の間に、隣人ら十六人が聞いている。そのうち一人は外に出て確認したが、人影をみなかったほか、若花菜さんのひざの切り傷はガラスによる可能性が高く、捜査本部は若花菜さんが逃げようとして割ったとの見方を強めている。これらの状況から、両手を縛られた若花菜さんが、もう一歩で外に逃げる直前に犯人に取り押さえられ、玄関付近で胸を刺された後、寝室まで連れ戻された可能性が有力となっている。
 犯人の侵入、逃走経路は玄関か無施錠だった居間の掃き出し窓のいずれかだが、人通りの多い玄関は考えにくく、捜査本部も掃きだし窓との見方を強めている。
鑑識資料
 現場家屋周辺から複数の種類の足跡と、室内から華族と異なる数個の指紋を採取。関係者との照合作業を続けているが、現段階では合致せず解明しなければならない指紋、足跡が残されている。捜査本部では若花菜さん宅に出入りしたことのある関係者の協力で、一つ一つ消去しているが、「解明できない指紋、足跡は犯人の可能性が高い」とみている。また、現場で採取した毛髪や繊維品の鑑定を急いでいる。
 一方、犯人の遺留品とみられるたばこの吸いがらから、若花菜さんと異なる血液型を特定したが、灰皿代わりに使った缶コーヒーの空き缶からは指紋が検出されず、捜査本部は犯人が手袋をはめていたか、ふき取ったとの見方を強めている。
長期化の見通し
山田県警刑事部長が会見

 八戸署で二十六日会見した山田寿夫県警刑事部長は、若花菜さん刺殺事件について、「事件から一ヵ月を迎えたが、今事件は筋が読みにくい難事件」と改めて捜査は長期化する見通しであることをほのめかした。
 山田刑事部長は会見で事件の概要を説明し、捜査体制や不審者の洗い出し、聞き込み、遺留品の捜索など、これまでの捜査状況を報告。その中で「侵入、逃走経路は断言できないが、無施錠の居間の掃き出し窓からは血の痕跡は全く発見されなかった。犯人は返り血を浴びていない可能性もある」などと話した。また、缶コーヒーやたばこの吸いがらなどの遺留品については言明を避けた。
 一方、今後の捜査方針については、「いたずら目的、怨恨かまだ動機が絞りきれない状況。これまで通り、現場周辺の聞き込みを中心に基本捜査を続けていくしかない」とした上で、「一般からの情報が少なくなってきている。一日も早く解決して若花菜さんの霊を慰めるべく我々も全力を挙げているのでご協力をお願いする」と犯人逮捕へ向けた決意を新たにするとともに、一般への一層の情報提供を求めた。・は八戸署0178・43・4141、捜査本部直通は0178・41・1551
「はちのへ今昔」推理 
  重要なのは共犯がいた可能性がある。警察の発表では単独犯であるように見えるが、存外二人組ではなかろうか。
今一度犯行の日時の時系列を見てみよう。
7時25分・若花菜さん、家を出て登校
7時30分・二男登校、母親も施錠し乗用車で出勤
14時25分・若花菜さん授業終了し清掃
15時30分・陸上競技部活、河原を走る
17時40~45分・友達三人で下校、「今日は早く帰らなくては」とよく立ち寄る食料品店に寄らず
17時53分・本八戸駅前で友達と別れ一人で自宅へ
17時58分・若花菜さん宅の明かりがついていないのを通行人が確認
18時頃若花菜さん帰宅
18時15分~20分・近所の複数の人が若花菜さん宅玄関のガラスが割れる音を聞く
18時23分ごろ・母親が帰宅、惨劇を発見
18時25分・助けを求められた近所の人が110番通報
18時27分・119番受理18時38分・救急隊員が死亡確認

二本のたばこ
たばこの一本目
集金人が来た時に犯人はたばこを吸って時間を潰したと思う。これが一本目。
二本目は凶行に及ぶ前、つまり六時十五分前に喫煙。
タバコの吸いがらから血液型が判明している筈だが、一つだけだったのか、それとも複数だったのか不明。
複数なら共犯がいた筈。
・缶コーヒーは犯人が持参したものか、若花菜さん宅にあったものかは報道されていない。犯人が持参した物ならば、若花菜さんにもすすめる為に二本以上があった筈。一本だとすると若花菜さんが犯人にすすめたものか。あるいは吸いがら代わりに若花菜さんが自宅にあった物を出してきたのか。
若花菜さんを後ろ手に縛るには相当な膂力がなくてはならぬ。犯人は腕っぷしの強い男だったのだろう。中学生を言いくるめたとしても、後ろ手に縛られることを容認する筈がない。しかし、複数犯なら、一人が包丁で脅せば可能。粘着テープは紙製ではなく布製で少々値段が張る。これを犯人が持参したので、普段これを使用している家庭、あるいは会社なのだろう。そこから盗むか、無断で持参したものだろう。紙製より強いテープを使用しなければならない会社や商店は何を扱う店なのだろう。
推測
集金人が戻り、若花菜さんは居間に戻った。当然犯人の靴は玄関にあった筈だ。玄関の右に台所があり、母親の寝室のタンス前にある包丁は若花菜さん宅の包丁のため、犯人は台所からそれを寝室に持ち運んだことになる。集金人が来た時に犯人に脅かされているなどすれば、若花菜さんは集金人に助けを求めた筈。何等異常を感じなかったことから、この時はまだ驚愕するような事態はなかった。
 ガラスの割れた音が聞こえたのが十五分頃のため、集金人が帰った後の十八分程度の時間内に何が起こっていたのか。ガラスは中から外に向かって飛散しているので、足で蹴り、その時、若花菜さんは腿に傷を受けている。犯人はその若花菜さんを押し戻し、六畳居間を通り、母親の寝室に倒した。この時に台所から包丁を取り出すことは不可能で、包丁はこのガラスが割れる前の段階で、犯人が持ってきたと思える。
 しかし、凶器となった包丁は若花菜さん宅の物ではなく、犯人が粘着テープと共に持参したもので、犯人は二刀流ではないので、包丁は二本は必要がない。
 若花菜さんが包丁を持ち出す必要性はない。集金人が来たときに不審を抱き、集金人が帰った後に、こっそり包丁を持ち居間に向かうとは考えられない。犯人に見せずに包丁を居間から母親の寝室に持ち込むのは不可能だ。それに、それだけ恐怖心があれば、中学二年の女子が犯人と格闘をし包丁で防戦するなどは考えられない。
 つまり、犯人は既に凶器となった包丁を一本持参しているので、共犯の男がこの包丁を台所から持ち込んだのだろう。二本の包丁で若花菜さんは脅かされていた。
粘着テープは何時、若花菜さんに張られたのか、ガラスが割れる音の聞こえた時、「助けて」の声もあったと報道されていることから、十五分の時には粘着テープは張られていなかった。若花菜さんを居間まで連れ戻し、口に粘着テープを張り、下着を脱がしたのだろう。抵抗が厳しく脅すつもりだった包丁できりつけた。馬乗りになって刺したとすると返り血を浴びた筈だが、廊下から玄関に向かって血痕がない所を見ると、心臓を刺した時には多量な血が噴出する筈。返り血を浴びなかったとすると背後から刺した場合が考えられる。刺創の角度で背後からか、前面からかが判明する筈だが、このことも新聞には出ていない。
犯人の逃走経路だが、若者の場合なら自転車が考えられる。二人の若者が一台の自転車に二人乗りしていれば、返り血を浴びた犯人が後ろならば、自転車を走らせる者の背中で返り血は見られることがない。十月末のため、あたりは相当に薄暗い。バッグか紙袋のような物に凶器の包丁と粘着テープの残りと手袋を持って逃走。自転車を走らせた男は殺人を犯した男の手下のような関係にあり、気が弱い男かも知れぬ。共犯共に若花菜さんと顔見知りか、一人だけなのかは判らぬ。この後、犯人は高飛びし、共犯は高校を卒業し、今も八戸に居ると思える。共犯が高校を卒業したと推定するのは、若花菜さんと顔見知りになり、家に上がり込むまでになるには、単に見たことがある程度ではなく会話があったことを物語るため、若花菜さんが中学一年の時に三年生だったとすると、犯行時は高校一年だと思える。若花菜さんが小学校時代の知人とは考えにくい。共犯と犯人との関係は同年代でない可能性もあるが、それほど年の差はないだろう。
 推測が無理な点
 この共犯ありの推測に無理があるのは、居間の座布団の位置。座布団は二枚しかない。犯人が二人連れだとすると、座布団は若花菜さんの物を含めると三枚必要。たばこの吸いがらが二本で同一の血液型だとすると犯人の一人は喫煙しない男となる。今後の八戸警察署の徹底捜査で一日も早く犯人が検挙されることを望む。それでなくては若花菜さんは浮かばれない。