「八戸市南類家、伊吉書院で万引きを逮捕、逃走しようとしているのでパトカーを願います。伊吉書院という本屋です」
女店員が烏に子を盗られた母雀のように、老人の男に二人で摑みかかっているのを目撃、どうした、万引きです、110番に電話したか? まだです、これで電話。そして必死に逃走しようともがく老人を鉄柵に押し付けて筆者が確保、青銀の若い衆を呼んでこい、男性職員がいるはず、この筆者の声に励まされ女性店員が青銀に走った。
青銀の若い衆三人が筆者に代わり身柄を拘束、パトカーの来るのが遅い、遅い、サイレンを吹鳴せず、赤灯だけ廻して二人の警官が十分以上かかってきた。警官が犯人をパトカー後部座席に押し込む。それを見届け筆者は現場を去った。
伊吉書院南類家店は、かつて高校生、中学生によるブッコ抜きと呼ばれる本棚から一気に、十冊とか十五冊をブッコ抜いて万引き、それは減ったが、老人の万引きが増加したと責任者の弁。
そんなもんかと聞いていたことがあったが、目撃する立場になるとは。それに、今回は刃物を持っていなかったからいいようなものだが、女店員、気をつけろ。助かりたい一心で刃物を振り回されれば落命の瞬間もある。正義感もあろうが、追尾して犯人宅を調べる程度にすべき。
たまたま筆者が加担できたが、剣呑剣呑(けんのん・あやういこと。あやぶむこと)。東京の本屋で大学生のアルバイト女性が殺された事件もあったゾ。