マルハは○の中にハが入っている。これは記号。八戸の記号と屋号を調べた奇特な方が二人。一人は八戸の造船業で記したが小倉要一氏、この人は海運局の検査官で船には明るい。もう一人が越後松助氏、丹念に事跡、伝承を聞き書き湊の話を本にされた。この本も八戸図書館郷土資料室にあり。
このお二方の記したものをまとめて掲載する。
八戸水産関係の屋号の特徴は他人がつけたもので自分でつけたものは少ない。「あだな」のようなもの。公式の場では姓名や艇名を呼んだりしているが、酒席になるとほとんど屋号で呼び合う。それ故に屋号を知らないと話がよくわからない。このあだなは佐々木姓の船主は十六、河村は十五、秋山は十七人もいる。だからこそ屋号が大事。
船に乗り込むと佐々木だらけだ。船主も佐々木、船頭も機関長も漁労長も甲板員も佐々木じゃ誰が誰だかさっぱり判らぬ。しかも同じ湊町居住じゃ、屋号だけが頼りになる。
「おめえはまごすけやのまきだか」「わはしんまちのまきだじゃ」
八戸でまきというのは一族とか縁がある人をもさす。船を新造するとなるとまきは協力する。これが漁民の心意気なのだ。昔「白鯨」という本を読んだ。エイハブ船長が自分の足をもぎとった鯨に復讐をする話だ。船が航海に出るとき、その港の人たちが金を出し合い、船に乗り組む船員の給料や食糧を負担する。その割合に応じて漁獲高から払い戻しがある。
現今の株主の様式だ。投下した資金が沈没や、漁価の下落で思うにまかせぬかも知れぬ。しかし、自分ができない仕事、つまり、婆ァになって小金は貯めたが、大金にはできない。足腰弱くなって働けない人は、これらに出資することで、大金と夢を抱くことが出来る。遠洋まではとても行かれない、鯨の解体は力が無くて足手まといになる人でも、わずかな金を出せば夢が買える。面白い方式だと痛感した。
このような方式は世界共通なのだろう。それが八戸ではまきを中心としたのだろう。
これがまきの造船所で、まきの機械工場でとまきをたどって船が出来上がる仕組みだ。
まきが頼りのために借用証文なんて巻紙は必要ない。まきの人たちの話だけできまる。まきの長は偉大な力を持ち、どんなに行政ががんばっても、まきの長から話が通らないと、たとえ合法でも話はこじれる。まきの大旦那に十分な根回し協力を頼まないと話は円滑に進まない。
あわ 清水庄蔵 漁業
あわだい 吉田弟吉 漁問屋
いたっこ 秋山 久栄丸 いたっこはイタコ
いたっこかまど 秋山喜一郎 永寿丸
うつぼかまど 信田恒次郎 栄丸 うつぼは九戸で大家のこと
えど 竹の子 建網 昔井戸があった
えもさ 越後右衛門 三島丸
えもさかまど 越後栄次郎 神意丸
えーごろや 大崎市太郎 大伊丸
おだいば 佐藤留吉 有明丸
おおやき 尾崎定吉 双葉丸 大家の称号
おおやきかまど 尾崎徳次郎 双葉丸
おかりや 佐々木 巻き網 義経の家来に家を貸したのでおかり家
おおみや 駒井庄三郎 酒屋
がら 柳谷第吉 久栄丸
がらかまど 柳谷明義 正寿丸
から 柳谷正三 政栄丸 新井田川の干上がりにいたのでカラ
がんてつ 榎本鉄五郎 魚問屋 頑固の鉄五郎、子供は小鉄
かしと 加賀貞三 千鳥丸
かんけ 中村酉松 長寿丸
かまり 安達太郎 安丸
かまりかまど 安達末松 初栄丸
がんべ 河村十三 丸中丸 昔、博打の最中役人に踏み込まれ壁に隠れてまぬがれた
かんでまつ 中村広志 欣栄丸 足が曲がって鍬の台(かんで)に似てることから
かんねばやし 小川貞治 栄邦丸 岩手県観音村出身
がけっこ 小島要吉 好漁丸 舘鼻崖に家あり
きへーや 佐々木喜衛門 七栄丸
きたろー 古川岩松 金比羅丸
きたろーかまど 古川五郎蔵 福神丸
ぎーぎー 関川 出雲丸
ぎーぎーかまど 関川倉吉 船大工
げんごかまど 吉田有作 有漁丸 藩政時代の浜役人源吾に縁
げんと 戸田源三郎 巻き網問屋
ごんた 長谷部金四郎 長善丸
ごんべえや 関川浅冶 大宝丸
こなや 関川乙蔵 隆祥丸 製粉業を上条で営む
こやまん 河村欣次郎 欣栄丸 体が小さいので小山
ごねど 音喜多 みさき丸 吉野屋の裏、日の出屋の所
ごんしちやかまど 尾崎市太郎 漁業 ごん七屋系統
こたっこ 秋山石松 こたっこの石とも言う
ごろべいや 沢井五郎兵衛 漁業
ごんべい 小島まき
こちゃぼ 中村広志 欣栄丸
かまり 安達太郎 安丸
ささっこじま 小島丑松 舘鼻の竹藪に居た
さんべいや 石戸澄子 恒栄丸
さいかち 富田市太郎 富喜丸 さいかちが家の廻りにあった
さいかちかまど 富田富勝 富喜丸
さくみや 清水勘市 大高丸 作衛門
さんきままかまど 角石蔵 湊船大工
さんすけや 船大工
さんしちろうや 魚問屋
しづけんちょう 秋山安雄 宝生丸
しか 三浦兵衛 宝盛丸 浜須賀の庄屋 三浦兵蔵
しちべいや 越後円次郎 長福丸
しんまち 佐々木又蔵 善宝丸
じんべいや 高橋石太郎 漁業 川の石転んでもじんべいやは転ばない 資産家
しちろ 軒七郎 五十鈴丸 さいかちと養子関係
しゅりや 武部 船頭 汐入から
しらが 宮崎正之助 船頭白銀丸
じんえもん 島脇
じろべいや 越後 二代目えもさの分家
じがね 大坂 長運丸機関長
すも 古川三郎 清宝丸 代々体格良く角力を出す
すけごろうや 宮崎定雄 魚問屋 鮫の女郎屋経営
そーだ 佐々木熊次郎 惣宝丸
そーすけかまど 清水兼蔵 清栄丸
そしと 河村清蔵 惣宝丸
そしとかまど 河村正太郎 汐見丸
そばがら 雫石 栄丸船頭 がんべと同じで博打の手入れの際そばがらに隠れた
そーすけや 白銀湯経営
たむかい 吉田久蔵 田向居住
たてばかまど 榊小一郎 漁祥丸 湊舘鼻
たたみや 佐々木惣一 七栄丸 先代畳屋
たかへえかまど 大高明治 大鵬丸
たか 関川松太郎 共進丸 女房の名
ちゃぼ 中村亥之松 漁業
ちょうしちかまど 大坂由太郎 長久丸
ちょうべいや 三栄丸乗り組み
てらこうじ 佐々木まさ 八幡丸 白銀寺小路
でんしろう 小島留次郎 志和丸
てんぐー 関川石太郎 あさひ丸
でんじろう 大山徳次郎 伝宝丸 伝次郎
とんだち 佐々木利雄 万歳丸 武士をとんだちと呼んだ
とーすけかまど 古川寅蔵 鉄工所
たきや 大久保弥三郎 船具
なしのき 佐々木弁次郎 定盤丸
ねぎしろ 熊野福三郎 明神丸
のそけ 佐々木 漁業
はづれっこ 榊福三郎
ばった 岩崎福三郎 水車の音
はまや 溝口鉄也 はまかぜ 下条の浜風のあたるところに居住
へーしちや 榎本ちよ 富士丸 平七屋より
べっとーかまど 高橋宗吉 光安丸
ほーがん まきあみ 九郎判官から
まごべいや 秋山熊次郎 成田丸
まごさく 五戸清蔵 宝福丸 大沢孫作
まごさくかまど 五戸岩吉
まごすけや 佐々木孫蔵 喜宝丸
まごすけやかまど 佐々木孫一 喜宝丸
まごじゅうろう 畑中栄吉 宝幸丸
まつえもん 島下庫松 三島丸
まんじょうや 久保保三 宝漁丸 先祖に萬蔵
まんじゅうや 大坂万吉 漁寿丸
みさこ 三戸榮太郎 イカ船
もへ 宮崎亀吉 長明丸
もへかまど 宮崎八太郎 長運丸
もぢゃかまど 佐々木弥一郎 専宝丸 もちを配るのでもぢゃ
もんちや 高橋清左右衛門 神海丸
やきば 川口石松 漁業
やへーや 関川弥兵衛 小中野鶴亀湯
やまのした 佐々木弥一郎 専宝丸
やま 柳谷吉太郎 錦栄丸
よけや 鈴木興吉 興助屋から
やすみや 河村興助 魚問屋で安くみたから
よかめや 磯谷市太郎 北越丸 四川目出身
りさぶろう 角市三郎 船大工
やなぎ 荒川芳雄 栄久丸
このお二方の記したものをまとめて掲載する。
八戸水産関係の屋号の特徴は他人がつけたもので自分でつけたものは少ない。「あだな」のようなもの。公式の場では姓名や艇名を呼んだりしているが、酒席になるとほとんど屋号で呼び合う。それ故に屋号を知らないと話がよくわからない。このあだなは佐々木姓の船主は十六、河村は十五、秋山は十七人もいる。だからこそ屋号が大事。
船に乗り込むと佐々木だらけだ。船主も佐々木、船頭も機関長も漁労長も甲板員も佐々木じゃ誰が誰だかさっぱり判らぬ。しかも同じ湊町居住じゃ、屋号だけが頼りになる。
「おめえはまごすけやのまきだか」「わはしんまちのまきだじゃ」
八戸でまきというのは一族とか縁がある人をもさす。船を新造するとなるとまきは協力する。これが漁民の心意気なのだ。昔「白鯨」という本を読んだ。エイハブ船長が自分の足をもぎとった鯨に復讐をする話だ。船が航海に出るとき、その港の人たちが金を出し合い、船に乗り組む船員の給料や食糧を負担する。その割合に応じて漁獲高から払い戻しがある。
現今の株主の様式だ。投下した資金が沈没や、漁価の下落で思うにまかせぬかも知れぬ。しかし、自分ができない仕事、つまり、婆ァになって小金は貯めたが、大金にはできない。足腰弱くなって働けない人は、これらに出資することで、大金と夢を抱くことが出来る。遠洋まではとても行かれない、鯨の解体は力が無くて足手まといになる人でも、わずかな金を出せば夢が買える。面白い方式だと痛感した。
このような方式は世界共通なのだろう。それが八戸ではまきを中心としたのだろう。
これがまきの造船所で、まきの機械工場でとまきをたどって船が出来上がる仕組みだ。
まきが頼りのために借用証文なんて巻紙は必要ない。まきの人たちの話だけできまる。まきの長は偉大な力を持ち、どんなに行政ががんばっても、まきの長から話が通らないと、たとえ合法でも話はこじれる。まきの大旦那に十分な根回し協力を頼まないと話は円滑に進まない。
あわ 清水庄蔵 漁業
あわだい 吉田弟吉 漁問屋
いたっこ 秋山 久栄丸 いたっこはイタコ
いたっこかまど 秋山喜一郎 永寿丸
うつぼかまど 信田恒次郎 栄丸 うつぼは九戸で大家のこと
えど 竹の子 建網 昔井戸があった
えもさ 越後右衛門 三島丸
えもさかまど 越後栄次郎 神意丸
えーごろや 大崎市太郎 大伊丸
おだいば 佐藤留吉 有明丸
おおやき 尾崎定吉 双葉丸 大家の称号
おおやきかまど 尾崎徳次郎 双葉丸
おかりや 佐々木 巻き網 義経の家来に家を貸したのでおかり家
おおみや 駒井庄三郎 酒屋
がら 柳谷第吉 久栄丸
がらかまど 柳谷明義 正寿丸
から 柳谷正三 政栄丸 新井田川の干上がりにいたのでカラ
がんてつ 榎本鉄五郎 魚問屋 頑固の鉄五郎、子供は小鉄
かしと 加賀貞三 千鳥丸
かんけ 中村酉松 長寿丸
かまり 安達太郎 安丸
かまりかまど 安達末松 初栄丸
がんべ 河村十三 丸中丸 昔、博打の最中役人に踏み込まれ壁に隠れてまぬがれた
かんでまつ 中村広志 欣栄丸 足が曲がって鍬の台(かんで)に似てることから
かんねばやし 小川貞治 栄邦丸 岩手県観音村出身
がけっこ 小島要吉 好漁丸 舘鼻崖に家あり
きへーや 佐々木喜衛門 七栄丸
きたろー 古川岩松 金比羅丸
きたろーかまど 古川五郎蔵 福神丸
ぎーぎー 関川 出雲丸
ぎーぎーかまど 関川倉吉 船大工
げんごかまど 吉田有作 有漁丸 藩政時代の浜役人源吾に縁
げんと 戸田源三郎 巻き網問屋
ごんた 長谷部金四郎 長善丸
ごんべえや 関川浅冶 大宝丸
こなや 関川乙蔵 隆祥丸 製粉業を上条で営む
こやまん 河村欣次郎 欣栄丸 体が小さいので小山
ごねど 音喜多 みさき丸 吉野屋の裏、日の出屋の所
ごんしちやかまど 尾崎市太郎 漁業 ごん七屋系統
こたっこ 秋山石松 こたっこの石とも言う
ごろべいや 沢井五郎兵衛 漁業
ごんべい 小島まき
こちゃぼ 中村広志 欣栄丸
かまり 安達太郎 安丸
ささっこじま 小島丑松 舘鼻の竹藪に居た
さんべいや 石戸澄子 恒栄丸
さいかち 富田市太郎 富喜丸 さいかちが家の廻りにあった
さいかちかまど 富田富勝 富喜丸
さくみや 清水勘市 大高丸 作衛門
さんきままかまど 角石蔵 湊船大工
さんすけや 船大工
さんしちろうや 魚問屋
しづけんちょう 秋山安雄 宝生丸
しか 三浦兵衛 宝盛丸 浜須賀の庄屋 三浦兵蔵
しちべいや 越後円次郎 長福丸
しんまち 佐々木又蔵 善宝丸
じんべいや 高橋石太郎 漁業 川の石転んでもじんべいやは転ばない 資産家
しちろ 軒七郎 五十鈴丸 さいかちと養子関係
しゅりや 武部 船頭 汐入から
しらが 宮崎正之助 船頭白銀丸
じんえもん 島脇
じろべいや 越後 二代目えもさの分家
じがね 大坂 長運丸機関長
すも 古川三郎 清宝丸 代々体格良く角力を出す
すけごろうや 宮崎定雄 魚問屋 鮫の女郎屋経営
そーだ 佐々木熊次郎 惣宝丸
そーすけかまど 清水兼蔵 清栄丸
そしと 河村清蔵 惣宝丸
そしとかまど 河村正太郎 汐見丸
そばがら 雫石 栄丸船頭 がんべと同じで博打の手入れの際そばがらに隠れた
そーすけや 白銀湯経営
たむかい 吉田久蔵 田向居住
たてばかまど 榊小一郎 漁祥丸 湊舘鼻
たたみや 佐々木惣一 七栄丸 先代畳屋
たかへえかまど 大高明治 大鵬丸
たか 関川松太郎 共進丸 女房の名
ちゃぼ 中村亥之松 漁業
ちょうしちかまど 大坂由太郎 長久丸
ちょうべいや 三栄丸乗り組み
てらこうじ 佐々木まさ 八幡丸 白銀寺小路
でんしろう 小島留次郎 志和丸
てんぐー 関川石太郎 あさひ丸
でんじろう 大山徳次郎 伝宝丸 伝次郎
とんだち 佐々木利雄 万歳丸 武士をとんだちと呼んだ
とーすけかまど 古川寅蔵 鉄工所
たきや 大久保弥三郎 船具
なしのき 佐々木弁次郎 定盤丸
ねぎしろ 熊野福三郎 明神丸
のそけ 佐々木 漁業
はづれっこ 榊福三郎
ばった 岩崎福三郎 水車の音
はまや 溝口鉄也 はまかぜ 下条の浜風のあたるところに居住
へーしちや 榎本ちよ 富士丸 平七屋より
べっとーかまど 高橋宗吉 光安丸
ほーがん まきあみ 九郎判官から
まごべいや 秋山熊次郎 成田丸
まごさく 五戸清蔵 宝福丸 大沢孫作
まごさくかまど 五戸岩吉
まごすけや 佐々木孫蔵 喜宝丸
まごすけやかまど 佐々木孫一 喜宝丸
まごじゅうろう 畑中栄吉 宝幸丸
まつえもん 島下庫松 三島丸
まんじょうや 久保保三 宝漁丸 先祖に萬蔵
まんじゅうや 大坂万吉 漁寿丸
みさこ 三戸榮太郎 イカ船
もへ 宮崎亀吉 長明丸
もへかまど 宮崎八太郎 長運丸
もぢゃかまど 佐々木弥一郎 専宝丸 もちを配るのでもぢゃ
もんちや 高橋清左右衛門 神海丸
やきば 川口石松 漁業
やへーや 関川弥兵衛 小中野鶴亀湯
やまのした 佐々木弥一郎 専宝丸
やま 柳谷吉太郎 錦栄丸
よけや 鈴木興吉 興助屋から
やすみや 河村興助 魚問屋で安くみたから
よかめや 磯谷市太郎 北越丸 四川目出身
りさぶろう 角市三郎 船大工
やなぎ 荒川芳雄 栄久丸