2009年1月30日金曜日

地域公共交通活性化会議2

さて、交通行政の観点から見れば、公共交通手段は捨てられない。八戸にもトテ馬車が走っていた。馬車組合はバスの出現に脅威を感じ騒動となった。
 バス会社の先陣をきったのが小笠原八十美、それに対抗し弱者馬車組合の用心棒が本多浩治、無産党で貧乏人の味方、こいつは骨のある奴で散々に小笠原をとっちめる。小笠原は代議士になるわけだが、この本多には手をやいた。そこで知恵のある小笠原は新聞をやりたがっていた本多に三本木にきて新聞主幹をやれとボロ新聞を買い取り与える。これにコロっときて本多はそれ以後小笠原の手下ヨ。この小笠原が選挙で銭を撒いて逮捕、その苦衷を救うのも本多だ。当時、小笠原は貧民病院を経営、その事務長が本多だ。警察に拘引された買収者が警官から殴られたのを発見し、ある医院をすすめ診断書をとれと命じた。買収された農民が医院を訪れるがたいしたことがないと戻す。
 ここに本多の知恵がある。いきなり自分の病院で診断書を書けばグルが露見、他の医院が書かなければ堂々と診断書が書ける。それで警官三名が逮捕され暴行凌虐罪でうたれた。これが有名な晴山事件だ。このぐらい知恵の廻る男だ。これだけの男だ、バス騒動の時は余程小笠原は苦しめられたのだろう。それで味方に引き込んだ。そして、小笠原他のバスを買い取り昭和七年、八戸市営バスが誕生したヨ。
 当時は黒字サ、それが戦争で統合され、戦後は南部バスになっちまった。これを八戸中学出身の夏堀悌二郎が同級生の五戸の代議士三浦一雄(この男は農林大臣歴任)に選挙協力を申し入れられ、反対給付で南部バスが八戸市に戻った。
 ところが、ドル箱が今度は苦痛箱になり下がりだ。市営バス売上げ19億、そのうち八戸市の補助が5億5千万、さらに高齢者乗車証として4億5千万、つまり八戸市から10億円の金が流れ出している。自分の努力での売上げはたったの9億円だ。これでよく倒れないものだ。民間企業ならとうに倒れている。
 これは毎日、三百万円を市営バスにくれてやっている。また、南郷村参入でここにバス路線を持たないため毎日十一万円をくれている。南部バスへは年間四千万円。
 この体たらくはどうしたことだ。この現状を八戸市民は知ろうとしないし、また声高に八戸市も伝えない。そこに今回の公共交通の会があった。バスへの乗車数が減っている理由は高校生の減少などが上げられるが、根本的にバスが実情に合っていないのだ。
 バス以外の交通手段にはタクシーがある。これをワゴン型にし障害者、高齢者でも座れる工夫をし乗り合いとすることだ。そして、これで路線を走らせる。朝の混雑時にはバスをタクシー会社に呉れてそれを走らせてもらう。あるいはワゴンの便数を増やすなどを考慮するべきだ。
 タクシーの売上げ、一日二万円目標、二百台のタクシーを八戸市内に走らせると、一年で14億円でしかない。八戸市の負担を十億円継続させると足りないのは4億円。これをどのように支払わせるかが問題。
 さて、乗り合いタクシーという以上、これは基本的にドアからドアとはしない。路線の停留所近くで降ろすを基本とする。路線を外れると別メーターにするなどを考えることだ。
 さて、もうすこし、話を根源的なことに移そう。回数無制限、載り放題タクシー定期券、その金額年間五万円というのはどうだ。乱暴な数字だが市民を24万として100億円だ。この定期券は24時間乗車できる。それも路線に出さえすれば無料で乗れる。高齢者になれば自動車運転免許証を返納する。
 個人で車を所有する時代は終ったと考えればいい。車を購入すると税金がかかり車検、毎年の自動車税、さらにガソリンが必要と、トヨタの宣伝に踊らされ車の借金地獄に陥った。
 これが車を放すことに力点を置けば、通勤の混雑は緩和、勤務先での駐車場の確保、市役所職員は毎月六千三百円を支払い年額では7万5千円。まして一杯飲めば運転代行と銭はかかるような仕組みだが、これらから全て開放されるのだ。
 一人あたり5万円の負担で百億円、これで24時間タクシーに乗れる。百億円では1400台のタクシーが市内を24時間走りまわるのだ。こんな都市が出現してみろ。近隣から移住してくる。
 世の中は知恵だ。トヨタの車にも口車にも乗らず、自動車運転免許証も不要、タクシー乗り放題(乗り合い)なら、免許証を持たない人も持つに等しい。もうすこし言えば、車を持たない人も車を持ったに等しくなる。
 チマチマとバスを残すことを考えるが、もう少し大きく輪ッパを廻そう。どの道人生はタダの一度なのだから。八戸人は金の使い方を知らない。どうせ使わなければならないなら、自分たちの使い勝手の良いように使うべきだ。それが生きた知恵だゾ。
 都立大の吉田氏は具体的に八戸を浮き彫りに見せてくれたが、今一歩踏み込み高齢者・障害者への無料バス券の支給4億5千万円をどう考えるかを忘れずに願いたいもの。
 また、参加者の質問も質問のための質問になっている。優秀な若い衆が来る以上、突っ込んだ質問ができる好機、それを市役所に頼まれたから来たのか、愚問を投げるは優秀な頭脳に無礼だ。簡単に結論は出ぬが、これを交通行政と取るか、新規の地域興しは車社会からの脱出と捉えるべきか、いよいよ事態は煮詰まってきたゾ、おのおのがた。