前号でみたように、八戸小唄は法師浜直吉氏が作詞したもので、それを惜しげもなく八戸市に著作権を無償で譲った。
八戸市は法師浜氏から貰い受けた著作権で幾ら手にしたことだろう。その合計金額は昭和四十三年から平成十八年までで二千六百七十万円にのぼる。
この金は八戸市公会堂基金に入れられた。すると、この公会堂とは何だ?の疑問が出る。それを調査すると、八戸市は昭和五十年一月に財団法人八戸市公会堂を立ち上げた。
そして公会堂事業基金を設立。昭和五十三年三月に「公会堂事業基金取り扱い要領の制定について」という文書が作成された。
総務部総務課行政係主事中村昭雄氏の名が記載されている。往時を知る人の為にサービスで押された印鑑名を紹介。
秋山市長、巻助役、松沢部長、長岡次長、橋本課長、係長植村、係員立花、財政部長松橋、次長下斗米、補佐川越、副参事杉本、契約課長久保、以下略。
理由 八戸市基金の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例の可決に伴い、公会堂事業基金(原資一億一千万円)の取り扱いについて必要事項を規定するものである。
基金の効率的な運用により、その収益を財団法人八戸市公会堂が自主的に開催する文化事業に充当する。
公会堂事業基金取り扱い要領
第一 公会堂事業基金による公会堂事業を効果的に運用するために必要な事項を定める
第二 八戸小唄著作権使用及び寄付金については基金に積み立てる
第三 基金の運用から生ずる収益は財団法人八戸市公会堂が主催する文化事業に使用する
第四 基金の運用から生ずる収益は一般会計歳入歳出予算に計上し、文化事業に要する経費に充てるものとし、残金を生じた場合は基金に積み立てるものとする
第五 基金の状況を明らかにするため次の帳簿を備え付ける
一、 財産台帳 基金出納補助簿
附 この要領は昭和五十三年三月三十一日から実施する
諸君も知っているように公会堂の中に公民館がある。これは建設中にオイルショックがあり建設材料高騰のため金が不足。そのため、金を工面しようと、当時、爆撃機騒音対策で防衛施設庁がふんだんに持っていた金に眼をつけた。つけたのは市長でなく、市役所職員だろう。傾いた家が飛行コースにあったため、サッシの防音窓枠をつけたら家がそれで持ち直したの笑話もある。
折衝してみると、公会堂には金は出せないが公民館整備なら出るとなった。それでも金を欲しいと、その金を食ったのが毒饅頭。
そのため、一つ屋根の下に公会堂と公民館の看板がぶら下がる格好となった。
もともと補助金欲しさで手を出した金。官庁からの交付金に眼をつけるのが会計検査院、ここに睨まれると厄介な問題になる。そのため公民館という名ばかりの、公民館ではない代物が登場する。公民館は教育委員会の管轄で、中央公民館が管理する。市内に二十二あり、次長級が中央公民館長となる。この公民館は八戸市公民館条例に規定される。公民館条例は公民館には館長をおかなければならないとある。
公会堂の中にある八戸市公民館は教育委員会文化課に所属する。公民館なのに中央公民館の管理下ではない。
この公民館は今、財団法人公民館が管理している。そこに公民館管理費として年間二千五百万が文化課から出ている。
中央公民館が管理する地域公民館の運営費は人件費を含め年間八百万円程度。公民館長は九万円の月給で奉仕する。二千五百万という地域公民館の三倍以上の金が何故必要なのか。
これらは全て、国(防衛施設庁)を騙したとがめだ。国から交付金を受け、それをいかにももっともらしく見せるために、公民館の看板を掲げた。それを維持するために、名目だけの公民館館長を置く。この館長は教育長が任命しなければならないと八戸市公会堂条例にある。すると誰が疑惑の八戸市公民館長に任命されていたのか。
当初は総務部の所管にあったそうだ。この証拠が明確になっていない。文化課の言い分では平成になってから文化課の管理下になったそうだが、それもまだ明確になっていない。書証を文化課がそろえるのを待つ状態。
現在は公会堂が公民館を管理している。公民館管理費の二千五百万円の内容が実に不透明。文化課はかかる費用を出しているというが、正しく使われているのか、大いに疑問。というのも、八戸市公会堂の指定管理は年間一億八千万円。ここから出る収益は運営する者がとっていいとある。
つまり、管理費の外に収益を上げれば管理側の利益になる。映画館経営者が、年間一億八千万円の金を貰って、映画館を経営する。そして上映収入を丸々もらえるなんて巧い話が現実にあるんだ。
中心商店街から逃げた女房のイトーヨーカドーの跡地に映画館がある。ここは天井が低くて、映画館とは名ばかり。ところが、公会堂はスケールが違う。公民館ですら五百席のステージを持つ。ここの管理費が問題なのだ。
上の表の清掃業務と警備業務に着目。公民館が合計で千六百万円、公会堂は二千九百万円。
公会堂と公民館は屋根は一つ、仕切りの壁もない。どこから公民館でどこが公会堂なのだろう。
警備と清掃で四千五百万円も支払われている。
さらに、驚くのは八戸市役所の新館と旧館の警備業務には千八百万円しか払われていない。
公会堂と市役所とはどちらが大きい。これは見ただけでも見当がつく。市役所の新旧館合計延べ面積は二万二千四百三十六平米、公会堂公民館は一万四千二百十九平米。
仕切りも明確でないところに巨額な金を流しているが、これは正しい執行と果たして言えるのだ ろうか。本来一つの建物で、二つに分けたのは名目上の問題。国を騙した行為は時効だ。にもかかわらずこれを連綿と続けるのは市民を欺く行為だ。
ここで頭を整理しよう。財団法人八戸市公会堂は八戸市役所の外郭団体で、八戸市が運営するものではない。
八戸市は市民の税金を八戸市公会堂に投入し、管理・運営をさせている。この公会堂が出来た当時の市職員定年は五十八。この受け皿として、公会堂を外郭団体とした。つまり、税金をうまく利用して、定年延長ができないので、再雇用としたのだ。市の財政がうまく回転していればいいが、財政破綻をきたした状況では重荷にしかならない。役人は自分の在任期間をことなかれ主義ですごしたい。だから、改革、改新などが行なわれず先送りされる。すると、現在まで、第二退職金として支払われた総額は?
文化事業とは何が行なわれたのか?